日本では日差しの強い日はUVカットの帽子や長袖、日傘を利用して紫外線対策をされている方も多いのではないでしょうか。カリフォルニア州ロサンゼルスと聞くと、青い空にビーチというイメージが目に浮かぶと思いますが、なんと紫外線量は日本の約2倍もあるのです。それに対し、現地の人は紫外線対策というとサングラスをかけているくらいです。白い肌が不健康に見えると言われることもあるせいか、むしろ薄着をして小麦色の健康的な肌になろうとしている人を見かける方が多いかもしれません。ですが、紫外線にあたった後の反応には人種やスキンタイプによる個人差があるのはご存知でしょうか。今回は紫外線の種類、日本とアメリカの差、スキンタイプ、そして紫外線が体にもたらす影響についてご案内をいたします。
UVには3つのタイプがある
UVとはUltravioletの略で、紫外線は波長の領域と性質によって、A、B、Cの3つに分けられます。
UV-C・・・大気層(オゾンなど)で吸収され、地表には到達しない。
UV-B・・・ほとんどは大気層(オゾンなど)で吸収されるが、一部は地表へ到達し、皮膚や眼に有害となる。日焼けを起こしたり、皮膚がんの原因となる。
UV-A・・・UV-Bほど有害ではないが、長時間浴びた場合の健康影響が懸念される。

日焼け止め(サンスクリーン)の性能表示と見分け方
SPF(Sun Protection Factor)
SPF値50までの高い方が日焼け止め効果がありますが、このSPG値はFDA(U.S. Food & Drug Administration)にてUVB照射により生じる日焼けの防衛効果の検定によって指標判断がされています。すなわち、商品に表示されている『SPG30』とは、日焼け止めのUVB保護効果のみを示しています。
皆さんは日本ではPAという表示に馴染みがあるでしょう。アメリカでは、ブロードスペクトラム(Broad Spectrum)の検定に合格したものがUVA保護効果があることを示すことができ、商品には『Braod Spectrum SPF30』と表示がされています。続けて分かり易く、UVA/UVB Protectionと表示されているものもあります。ご購入されるなら両方保護してくれる日焼け止めを選ぶと良いでしょう。
また、FDAでは肌が薄めの方ならSPG値30~50程度の高めのものがお勧めとされています。中にはSPF100という日焼け止めも見かけますが、50の倍だからといって効果が倍になる訳ではありません。SPF30で97%、SPF50では98%、SPF100では99%、肌をUVBからブロックし保護する効果があるといわれています。そしてSPF値が高い、たくさん塗ったとしても長時間ブロックされる訳ではありません。最大限の効果で肌を保護をするには、最低2時間おきにつけ直すことがFDAでは推奨されています。
日焼け止めの使用方法
紫外線から肌を守り日焼けを最小限に抑えるには、日焼け止めを正しく使用することが重要です。以下の推奨事項に注意してください。
- Braod Spectrumと表記されているUVAとUVBの両方をフィルターする日焼け止めを選ぶ。
- 耳の輪郭、唇、首の後ろ、足の甲など見落としがちな部位も含め、露出している肌全体に均等に日焼け止めを塗る。
- 外出する30分前に日焼け止めを塗って時間を与えると効果が発揮される。水泳やスポーツ、ガーデニングや発汗後には2時間ごとに塗り直す。水に塗れる場合はウォータープルーフタイプのものを選ぶ。
- 子供の日焼け止めを選ぶ際は、全体に塗る前に子供の手首に塗ってテストを行い、皮膚や目の刺激を感じた場合は他のブランドを選ぶ。
- 生後6カ月以下には使用せず、生後6カ月以上の全ての子供に日焼け止めを塗る。肌質や肌の色合いに関係なく紫外線からの保護が必要。
日本とアメリカの紫外線を比較
ロサンゼルスの紫外線量は、日差しが弱いと思う季節であっても一年を通して比較をすると、日本(つくば)の1.5~2倍くらいになります。


フィッツパトリックのスキンタイプ/ スキンフォトタイプ
日本人など黄色人種は紫外線にあたった後、赤くなってから少し黒くなる方が多いでしょう。紫外線に対する反応は個々のスキンタイプによって反応が異なり、例えば白人ではメラニン色素が少ないため最初赤くはなっても黒くなりません。黒人は元々肌にメラニンがあり紫外線を浴びても殆ど赤くならず日焼けもしません。しかしながら、同じ人種でも遺伝によってタイプは異なり習慣によっても変わってくるともいわれています。この基準では日本人の一般的なスキンタイプは、ⅡからⅣくらいの範囲といわれています。

紫外線による健康への影響
紫外線が関係していると考えられている慢性の病気
<皮膚>
- シワ(菱形皮膚)
- シミ、日光黒子
- 良性腫瘍
- 前がん症(日光角化症、悪性黒子)
- 皮膚がん
<目>
- 白内障
- 翼状片

紫外線のうちUVBが皮膚の細胞のDNAに傷をつけてしまいます。細胞にはそれを修復する仕組みがありますが、DNAの傷が大き過ぎたり、長年にわたり繰り返し傷がつけられているうちに修復能力を超えてしまいます。そこで傷の直し間違いが起きて突然変異が起き、皮膚がんの原因と考えられています。皮膚がんの全ての原因が紫外線によるものではありませんが、アメリカは生涯で5人に1人の割合で皮膚がんになると言われており、オーストラリア、ニュージーランドに続き世界で3番目に皮膚がんが多い国とされています。
白内障は、眼のレンズの透明性の喪失によって視界がかすむ眼の損傷の一形態で多くは加齢によるものですが、紫外線や喫煙、糖尿病や薬物も大きな原因といわれています。眼部の紫外線対策は紫外線が強い夏のみにならず一年を通して必要です。天気が良い日には特につばの長い帽子、サングラス、眼鏡、またコンタクトレンズは99~100パーセントの紫外線保護を提供するものを選ぶようにしましょう。そして、スキーやスノーボードといった雪山でのスポーツを楽しむ際も雪面の紫外線反射が強くなりますので、サングラスで目の保護を忘れないようにしましょう。
日焼け止めは皮膚がんなどの発生を防ぐことはできませんが、紫外線による日焼けや紫外線の肌への吸収を抑える効果はあります。皆さまも是非この機会に紫外線対策について今一度見直してみてはいかがでしょうか。
参考:
- 日本皮膚科学会 -皮膚科Q&A 日焼け(外部リンク)
- Johns Hopkins Medicine – Sun Safety(外部リンク)
- 気象庁- 日最大UVインデックス(観測値)の月平均値の数値データ表(外部リンク)
- UV Index Today – Historical UV Index Data(外部リンク)
- 気象庁- 紫外線 環境保健マニュアル2020(外部リンク)
- Wikipeia – フィッツパトリックのスキンタイプ(外部リンク)
- EPA United States Environmental Protection Agency- Health Effects of UV Radiation(外部リンク)