【SAS】睡眠時無呼吸症候群の早期発見と治療について(2023年12月15日)

医療・薬・予防等に関するお役立ち情報

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)とはその名の通り、睡眠中に無呼吸になる状態が繰り返される病気です。医学的には気道の空気の流れが10秒以上止まることを「無呼吸」と言います。その無呼吸が7時間の睡眠の間に30回以上、または、1時間の中で5回以上起こっている場合に「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。

いびきをかく、疲れが取れない、日中の眠気などはありませんか?
先ずはよくある症状でセルフチェックをしてみましょう。

よくある症状でセルフチェック

  • Loud snoring.
    大きないびきをかく
  • Episodes in which you stop breathing during sleep — which would be reported by another person. 
    睡眠中に呼吸が止まっていると家族や他の人に指摘されたことがある
  • Gasping for air during sleep.
    睡眠中に息苦しくなり目覚めることがある
  • Awakening with a dry mouth.
    目覚めると口が渇いていたりする 
  • Morning headache.
    起床時に頭痛がする
  • Difficulty staying asleep, known as insomnia.
    寝つきが悪い、不眠症である
  • Excessive daytime sleepiness, known as hypersomnia.
    日中に強い眠気がある、過眠症
  • Difficulty paying attention while awake.
    起きている間の集中力の低下
  • Irritability.
    些細なことでイライラするようになった
  • Nocturia 
    夜間頻尿
いびきをかいて眠る男性のイラスト

あなたはいくつチェックが付きましたか?
セルフチェックは自己診断するものではありませんので、気になる症状がある方は医師にご相談ください。

SASの重症度

重症度判定には無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index)が用いられます。

5回~15回未満  ・・・軽症
15回~30回未満・・・中等症
30回以上・・・重症

SASとの合併症リスク

睡眠中に呼吸が止まり呼吸再開をするたびに脳が起きてしまい覚醒が起こり交換神経の働きが高まります。これにより昼夜問わず血圧が上昇し高血圧の悪化につながると言われています。高血圧の他にも、不整脈、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病、胃食道逆流症などの合併症につながるとされています。

また日本では睡眠障害がある方による交通事故が増え、改定道路交通法の一部が施行されました。公安委員会が免許取得者に対し、重度の眠気の症状を示す睡眠障害を含む自動車の運転に支障が及ぼす恐れがある病気があるか質問票を交付し、質問を受けた者は回答を提出しなければなりません。虚偽の回答をした場合は罰則の対象となることがあります。

病院に相談に行くタイミングは?  

無呼吸との兆候ともいえるいびきが酷い、十分な睡眠時間を取っているのに眠気と倦怠感が取れないなどセルフチェックであてはまる症状がある場合は早めの受診をしてください。

検査方法

先ずは自宅または病院にて、手と顔にセンサーを付けて睡眠時の呼吸と血液中の酸素濃度の状態を調べる検査があります。短時間でおわる簡易検査となります。
そして、その結果から医師が精密検査が必要と判断した場合は、病院にて心臓、肺、脳波、呼吸パターンの測定をしていきます。

睡眠時無呼吸症候群の中でも多いのが、肥満によって首が太くて短い方、顎が小さい、もともと気道が狭い方は咽頭や舌の付け根の筋肉が緩み気道が狭くなることで無呼吸となる状態です。治療方法はいくつもありますが、精密検査の結果や普段の習慣よりどの治療方法がご自身に適しているか医師と相談するとよいでしょう。

治療方法

生活習慣の見直し(減量、禁煙、寝る前の飲酒を控える)
CPAP療法(鼻マスクを介して空気を送り気道を広げる)
口腔内装置/マウスピース(顎の位置を移動し舌による気道閉塞を防ぐ)
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術/UPPP(口蓋垂や扁桃を切除して上気道を拡大させる手術)

酸素マスクを装着して眠る男性のイラスト

睡眠時無呼吸症候群の治療をすることで、合併症のリスクが低下する可能性があります。または、再びいびきをかくようになった、再び日中眠くなるようになったという症状があれば悪化している可能性がありますので、医師と治療方法の選択についてご相談ください。

参考:

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